コラム
脳梗塞後のリハビリで後遺症は軽減できる?期間と方法を解説
脳梗塞の発症後、多くの方が悩むのは後遺症とリハビリです。
日常生活に戻るためには、適切なリハビリをどのタイミングで、どれくらい続けるかが重要です。
この記事では、脳梗塞後の後遺症とリハビリの関係性、期間や自宅でもできるリハビリの方法まで、分かりやすく解説します。
「自分や家族に必要かも」と感じた方は、ぜひ最後までお読みください。
脳梗塞のリハビリはなぜ重要?

脳梗塞のリハビリは、後遺症の改善と日常生活への復帰を目指すうえで欠かせない取り組みです。
脳梗塞とは、脳の血管が詰まって血流が途絶え、脳細胞が酸素や栄養を受け取れなくなることで機能が低下してしまう、脳卒中の一種です。
発症後には、手足の麻痺や言語障害、記憶力の低下など、さまざまな後遺症が現れることがあります。
これらの症状は自然に回復することもありますが、多くの場合、適切なリハビリを行うことで、改善が期待できます。
特に重要なのは、発症から時間が経つほど神経の再生が難しくなるため、できるだけ早期に、そして継続的にリハビリを行うことが回復の鍵になります。
脳梗塞の後遺症とは
脳梗塞の後遺症は、発症した部位や重症度によってさまざまです。
よく見られるものとしては、手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくくなる言語障害、記憶力や思考力の低下などがあり、日常生活に大きな支障をきたします。
特に高齢者では、これらの後遺症が生活の質(QOL)に深刻な影響を与えることがあります。
脳梗塞の後遺症改善にリハビリが効果的な理由
リハビリが有効とされる大きな理由は、脳の神経可塑性(かそせい)という特性にあります。
これは、失われた機能を補うために脳が新たな神経回路を作り出す力のこと。
たとえば、麻痺した手を動かす練習を繰り返すことで、他の神経がその機能を代替しようとするのです。
また、リハビリを通じて関節や筋肉を動かし続けることで、拘縮(関節が固まること)や筋萎縮を防ぐこともできます。
後遺症の進行を防ぎつつ、少しでも機能を取り戻すために、リハビリは欠かせない手段です。
リハビリを始めるタイミング
リハビリは発症直後の急性期から始めるのが理想的とされています。容体が安定すれば、早ければ数日以内に医師の指示のもと、ベッド上での軽い訓練からスタートします。
この早期介入によって、筋力の低下や関節の拘縮(関節が固まること)を防ぎ、脳の再学習を促進することができます。
脳梗塞のリハビリ期間

脳梗塞のリハビリは、「どのくらい続ければいいの?」「いつまでやればいいの?」と不安になる方も多いかもしれません。
実は、脳梗塞のリハビリは「○ヶ月やれば終わり」と決まっているわけではなく、回復段階に応じて段階的に続けていくことが大切です。
期間別にみるリハビリの流れ(急性期・回復期・維持期)
急性期(発症~約1か月)
発症直後、命の危険を乗り越えて容体が安定したら、すぐにリハビリが始まります。
この時期は、関節の拘縮(関節が固まること)や筋肉の衰えを防ぐことが目的。
ベッド上での体位変換や、簡単な動きからスタートすることが多いです。
回復期(1か月~6か月頃)
最もリハビリ効果が出やすいゴールデンタイム。
この時期は、立ち上がる・歩く・食事をするなど、日常生活に近い動作の練習が本格的に行われます。
施設に入所して集中リハビリを受ける方も多いタイミングです。
維持期(6か月以降~)
回復がゆるやかになる時期。
病院や施設でのリハビリが終わったあとも、機能を維持しながら少しずつできることを増やすことが目標になります。
自宅でのリハビリや訪問サービスなどを使って、無理のない継続が大切です。
リハビリはどのくらい続けるべき?回復の目安と目標設定
「このくらいやったら治る」というゴールがあれば安心ですが、リハビリに明確な終わりはありません。
大切なのは、「何ができるようになりたいか」をはっきりさせて、それに向かってステップを踏んでいくことです。
たとえば、「1人でトイレに行けるようになりたい」「家族と一緒に外出したい」など、自分らしい生活を取り戻すことを目指すと、リハビリの目的もはっきりしてきます。
医師やリハビリスタッフと一緒に、小さな目標を少しずつクリアしていくのが、前向きに取り組むコツ。
焦らず、でもあきらめず、継続することが回復への一番の近道です。
脳梗塞のリハビリ方法

脳梗塞のリハビリには、通院や入所による「施設リハビリ」と、自宅で行う「自宅リハビリ」があります。
どちらにもメリットがあり、状況に合わせてうまく使い分けるのが理想です。
脳梗塞の自宅リハビリと施設リハビリの違い
施設リハビリは、リハビリ専門職による評価と支援のもと、適切な機器を使ったトレーニングが行えるのが魅力です。
特に回復期には集中的なケアが可能で、短期間で効果が見込めます。
一方、自宅リハビリは生活の延長線上で無理なく続けられる点が大きな利点です。
移動の負担がなく、日常生活に即した練習ができるため、退院後や維持期に特におすすめです。
理想的な脳梗塞後のリハビリとして、施設で専門的なリハビリを受けながら、自宅でも自主的な運動を取り入れる「併用型」が推奨されています。
自宅でできる脳梗塞のリハビリメニュー(手・足・口の運動)
自宅でのリハビリは、道具を使わず簡単にできる運動から始められます。
毎日少しずつ、継続することが大切です。
特に「手」「足」「口」の動きに焦点を当てたリハビリは、日常生活の質に大きく関わります。
代表的な運動方法を紹介いたしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
※ご高齢者や麻痺のある方は転倒に注意し、ご自身にあった方法を作業療法士などの専門家に確認しながら行いましょう。
手の脳梗塞リハビリ方法

手のリハビリには、指を一本ずつ動かす、タオルを握って握力を鍛える、物をつかんで移動させるといった運動が効果的です。
足の脳梗塞リハビリ方法

足のリハビリでは、椅子に座ったまま足を前に伸ばす、つま先立ちをする、足踏みを繰り返すなど、転倒しにくい姿勢での練習が推奨されます。
口まわりの脳梗塞リハビリ方法

口や舌のリハビリには、「パ・タ・カ・ラ」と発声する体操が効果的です。
それぞれの音が、口唇・舌・喉の異なる筋肉を刺激することで、発音の明瞭さや嚥下機能の改善につながります。
1日2セットを目安に、ゆっくり・はっきり発音することを意識して行いましょう。
生活に取り入れられるリハビリ習慣
「リハビリの時間をわざわざ作るのが難しい…」という方には、生活動作そのものをリハビリにしてしまう工夫がおすすめです。
たとえば、洗濯物をたたむ動作で指先の練習、立ち上がりのときに膝や太ももの筋力を意識する、階段を使って足腰を鍛えるなど、日常の動きに意識をプラスするだけでも、十分なリハビリになります。
また、テレビを見ながらの足踏みや、音読なども効果的です。
脳梗塞後にリハビリをしないとどうなる?

脳梗塞後の回復にはリハビリが不可欠です。
しかし、さまざまな理由からリハビリを中断・放置してしまうケースも少なくありません。
ここでは、リハビリをしないことで起こりうる影響や、再開のタイミング、モチベーション維持のコツをご紹介します。
リハビリ不足がもたらす影響
リハビリをせずに過ごすと、筋力や関節の柔軟性が低下し、寝たきりに近づいてしまうリスクがあります。
また、脳が回復しようとする「可塑性(かそせい)」の働きも低下し、回復のチャンスを逃してしまうことに。
さらに、日常生活での動作が困難になり、介護負担も大きくなる傾向があります。
リハビリを再開するタイミング
「もう遅いかも…」と思っていても、リハビリを再開するのに遅すぎることはありません。体力や意欲が回復してきたとき、生活の中で「できないこと」が増えてきたときが、リハビリ再開のタイミングです。
主治医やケアマネージャーに相談しながら、無理のない計画で始めてみましょう。
リハビリのモチベーションを保つコツ
リハビリを続けるには、無理のない目標を立てることが大切です。
「今日は5回手を動かす」「1分だけ足踏みをする」など、小さな達成感を積み重ねると、前向きな気持ちが続きやすくなります。
また、家族や支援者とのコミュニケーションも大切です。
一緒に応援してくれる人の存在が、大きな励みになりますよ。
脳梗塞後の回復は無理のないリハビリ継続が鍵!

脳梗塞の回復には、リハビリを焦らず続けることが一番の近道です。
無理せず、自分のペースで取り組むことで、少しずつ生活の質も上がっていきます。
通院が難しい方には、訪問型のリハビリやマッサージといった選択肢もあります。
しかし、「介護保険の限度額を超えてしまい、これ以上リハビリを続けられない…」
そんなお悩みを抱える方も少なくありません。
からだ元気治療院では、医療保険が適用できる訪問マッサージをご提供しており、費用の負担を抑えながら継続的なサポートが可能です。
ご相談は、お電話・LINE・フォームからお気軽にお問い合わせください。